最終更新:2026年2月|読了目安:10分
The Human whose name is written in this note shall die.
「僕は新世界の神になる」
もし、名前を書くだけで人を殺せるノートを拾ったら、あなたはどうするか?
「警察に届ける」「燃やす」。
口ではそう言うだろう。
だが、理不尽なニュースを見た夜、上司にパワハラを受けた夜。
あなたの手元にそのノートがあったら、本当にペンを取らないと言い切れるか?
大場つぐみ・小畑健による『DEATH NOTE』は、単なるサスペンス漫画ではない。
人間の奥底に眠る「傲慢さ(エゴ)」を炙り出す、悪魔のリトマス試験紙だ。
📓 30秒でわかる『DEATH NOTE』
【あらすじ】
天才的な頭脳を持つ高校生・夜神月(ヤガミライト)は、ある日、死神が落とした「デスノート」を拾う。
彼は自らの正義に基づき、凶悪犯を次々と粛清し、犯罪のない理想郷(新世界)を創ろうとする。
しかし、それを阻止すべく、世界一の名探偵・L(エル)が立ちはだかる。
【ここがヤバい】
超能力バトルではない。互いに正体を隠しながら、裏の裏を読み合う「極限の頭脳戦」が展開される。
1. 「正義」は暴走する狂気である
この物語の恐ろしい点は、主人公のライトが「悪人」ではないことだ。
彼は真面目で、優秀で、正義感の強い優等生だった。
だが、ノートという「絶対的な力」を手にした瞬間、彼は狂い始める。
「犯罪者を消すことは善だ」
「僕に逆らう者は悪だ」
「だから、僕を捕まえようとする警察も殺していい」
論理が飛躍し、自己正当化が始まる。
歴史上の独裁者たちも、最初はみな「国を良くしたい」という正義から始まった。
「正義」とは、一度暴走すれば「悪」よりもタチが悪い凶器になるのだ。
2. 天才vs天才。息もできない心理戦
『DEATH NOTE』の魅力は、なんといってもライトとLの攻防だ。
「キラ(ライト)は日本にいる」と特定するまでのLの罠。
ポテトチップスの袋の中に小型テレビを隠して監視を逃れるライトの奇策。
嘘に嘘を重ね、笑顔で握手をしながら、心の中では互いに「こいつを殺す」と計算し合う。
「正義は勝つ!」
二人が同時に叫ぶこのセリフ。
勝ったほうが正義になる。負けたほうは悪として死ぬ。
このシンプルなルールが、読者の脳髄を痺れさせる。
3. 結論:あなたは「神」にならない自信があるか?
読み終えた後、誰もが自分に問いかけるだろう。
「もし自分だったら?」と。
ムカつく上司の名前を書かないか。
邪魔なライバルの名前を書かないか。
人間は弱い。力を持てば、必ず使いたくなる。
『DEATH NOTE』は、そんな人間の弱さと、命の重さを突きつける哲学書でもある。
全12巻。長くも短くもない、完璧な構成。
まだ読んでいないなら、今週末の予定はすべてキャンセルしたほうがいい。
一度ページを開いたら、最後の名前が書かれるまで、こちらの世界には戻ってこられないからだ。

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