最終更新:2026年2月|読了目安:9分
- なぜ「いい人」ほど、ビジネスや交渉で負け続けるのか?
- ゲーム理論の基本「囚人のジレンマ」と裏切りの合理性
- 天才詐欺師・秋山深一に学ぶ「必勝の支配術」
「人間は……疑うべきだ」
甲斐谷忍による『ライアーゲーム』の主人公、天才詐欺師・秋山深一はそう断言する。
多くの人間は、この言葉を「冷たい」「人間不信だ」と批判するだろう。
だが、アングラ経済を分析する立場から言えば、これは冷酷さではない。
「自分と仲間を守るための、最も誠実なリスク管理」だ。
今回は、正直者(カモ)の代表であるヒロイン・神崎直と、彼女を救う秋山の対比を通じて、現代社会という「巨大なライアーゲーム」を生き抜くための数学的戦略を解説する。
1. 正直者が100%負ける「囚人のジレンマ」
なぜ、バカ正直な人間は搾取されるのか?
それは、世の中の多くの仕組みが「囚人のジレンマ」という構造を持っているからだ。
囚人のジレンマ(簡易版)
あなたと共犯者が別々の部屋で尋問を受けている。
- A. 二人とも黙秘(協力): 懲役1年(最良)
- B. 自分だけ自白(裏切り): 自分は釈放、相手は懲役10年
- C. 二人とも自白(裏切り): 懲役5年
全体で見れば「A(協力)」がベストだ。
しかし、個人の利益(釈放)を考えると、「相手が黙っていようが裏切ろうが、自分は裏切ったほうが得」という結論になる。
その結果、互いに裏切り合い、共に損をする(Cの結末)。これを「ナッシュ均衡」と呼ぶ。
『ライアーゲーム』の参加者たちは、このジレンマに苦しむ。
「みんなで協力すれば全員助かる」と分かっていても、誰か一人が裏切れば、その裏切り者だけが大金を得るからだ。
正直に「協力しよう」と呼びかける神崎直は、数学的に言えば「カモになる確率100%のバグ」でしかない。
2. 「疑う」とは、相手を知ろうとすること
しかし、物語が進むにつれて、読者はある真実に気づく。
「人を信じる」と繰り返す直よりも、「人を疑う」秋山の方が、結果として多くの人を救っているという事実だ。
秋山の名言がある。
「疑うってことは、その人のことを知ろうとする行為だ。
多くの人は、信じるという名のもとに思考停止しているだけだ」
これは現代のビジネスや人間関係にも通じる。
契約書をよく読まずにサインする。「あの人はいい人だから」と連帯保証人になる。
それは信頼ではない。「思考放棄」だ。
相手の嘘、隠された意図、裏切るメリット。
それらを全て計算し(疑い)、その上で「裏切らないほうが得になる状況」を作り出すこと。
それが、大人の世界における本当の「信頼(Trust)」の作り方だ。
3. 必勝法は「ゲームの支配」にある
『ライアーゲーム』の面白さは、秋山が単にゲームに参加するのではなく、「ゲームの構造そのものをハックする」点にある。
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ルールの穴を突く:
「回収に来るのは明日」というルールの隙を突き、銀行ごと買収するような奇策。 -
情報を独占する:
「少数決」ゲームにおいて、チームを組んで票を操作し、確率を100%にする。
彼は運に頼らない。
全ての変数を支配下に置き、勝利を「確定事項」にしてから勝負を始める。
私たちの人生も同じだ。
会社のルール、税金のルール、法律。
与えられたルールの中で真面目に戦うだけの人間は、ルールを作る側(運営)の手のひらで踊らされているに過ぎない。
結論:脳みそを使え。さもなくば搾取される。
『ライアーゲーム』は、知的興奮を与えてくれる極上のエンターテインメントだが、同時に残酷な警告書でもある。
もしあなたが、「自分は騙されやすい」「交渉が苦手だ」と感じているなら、このマンガを全巻読み込んでみてほしい。
そこには、相手の嘘を見抜き、不利な状況をひっくり返すためのロジックが詰まっている。
信じるな。疑え。
そして、考え抜け。
それが、この嘘だらけの世界で、あなたの大切なものを守る唯一の方法だ。
「その勝負、必勝法がある。」
ドラマ化・映画化もされた心理戦の最高峰。
ゲーム理論を学びたいなら、教科書よりこのマンガだ。
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